第三章「いざ、東京進出!焼肉店が撤退した物件で、勝負に出ることを決意。」
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■■ 膠着状態を打開する飯田の決断
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「また一からやり直しか・・・」
飯田はショックを隠し切れなかった。
だが月日は刻一刻と過ぎていく。
プロジェクトチームが動き出してから
既に半年以上が経過。
落ち込んでいる暇などなかった。
再び物件探しの日々が始まるものの、
目新しものは少なくなっていた。
既に数百軒もの物件をチェックしている飯田にとって、
一度目を通したものばかり。行く手を塞がれる思いがした。
そんな膠着状態を打ち破るべく、
飯田はある決断を果たす。
そして、次の一手となる、あるモノを手に、
メンバーのもとに足を運んだ。
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■■ 「ここで行きましょう!」
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飯田が手にしていたモノとは、都内の物件情報。
神奈川の地元出店にこだわりを持っていたが、
ついに東京進出を覚悟したのだった。
「もしかすると、この物件は穴場なんじゃないのか」
物件をチェックしていたメンバーの目が光る。
場所は東京のオフィス街である外苑前。
秩父宮ラグビー場・神宮球場から駅までの通り道にあり、
シーズン中は特需が見込める好立地だった。
そして好都合なことに、
以前は焼肉店が入っていたため、居抜きで活用できる。
前オーナーの撤退という同じ轍を踏まないための
新しいコンセプトを生み出すことで、
充分に戦えるという判断に至った。
「ここで行きましょう!」
打ち合わせの中で店に対するイメージも膨らみ、
船出として申し分ない場所だと確信を持てるようになった。
そして2010年6月、
やっとの思いで物件の契約へと至ったのである。
(つづく)