助成金基礎知識①
《助成金とは》
助成金は、厚生労働省や経済産業省など国や各都道府県の公的機関が配っている
「(原則として)返さなくてもよい資金」なのです。
助成金は大企業にしか受給できないので関係ないと思っている中小企業の社長や個人事業主もいるためほとんど使われていないのが現状です。また助成金の存在そのものを知らない事業主も多いです。しかし助成金は雇用保険料を支払っていて、条件さえ満たせば中小企業や個人事業でも受給することが可能です。
ただ助成金は申請しないと受給することができません。つまり何もアクションを起こさない限り助成金の条件に合致しているのに助成金を手にすることができないのです。
《助成金の申請条件》
「雇用に係る助成金」については例外もありますが、
1.「雇用保険」「労災」に加入している事。
2.労働協約または就業規則(労働基準監督署に届け出て、受理印が押印されているもの)
3.賃金台帳、出金簿、労働者名簿
が必要となります。
「雇用保険」や「就業規則」は社会保険労務士が申請作成の代行をしてくれますので、社会保険労務士に相談するのも一つの方法です。
また、社会保険労務士は顧問契約することで助成金の提案や労務管理など様々な手助けをしてくれます。
下記で紹介させていただく「飲食プロネット」の提携社労士も得意としている業務の一つなので問い合わせてみるのも一つの方法ではないでしょうか。
例えば、先程例に挙げた「均衡待遇・正社員化推進奨励金」の中に共通処遇制度奨励金というものがあります。
正社員とアルバイトの報酬や待遇を業務の熟練度や責任度によって揃える制度を導入することでもらえる助成金です。
その申請条件を簡単にまとめると
【事業主側】
① 雇用保険と労災の保険料を払っていること
② 労働協約または就業規則に上記図の内容が入っていること
③ 共通処遇制度の適用後6ヶ月分の給料を従業員に支払っていること
④ 正社員に適用する処遇制度を共通処遇制度と同時またはそれ以前に導入していること
⑤ 共通処遇制度をはじめるにあたって、すでに正社員を雇用していること
⑥ 助成金を支給申請するときに、まだ制度が継続して運用されていること
【労働者側】
① パートさんやアルバイトが雇用保険を払っていること
② 制度を導入した結果、パートさんの時給が下がっていないこと
③ 正社員と共通の区分に格付けされていること
上記すべてに該当すれば助成金(60万円)が獲得できます。
但し、申請する際に数々の書類の提出があります。詳しい情報を見たい方は
こちらをご覧下さい。
《助成金の分類》
主に飲食店では①の「雇用に係る助成金」が対象になる事が多く、
ここからは、①の「雇用に係る助成金」を例に進めていきたいと思います。
例えば、パートなど有期契約労働者と正社員の待遇を均衡のとれた就業規則を作成して、
利用することで60万円、パートから正社員に転換するにあたって試験制度を導入することで40万円支給されるなど、
新規の雇用でなくとも助成金はもらえます。
また、新規の雇用では、高校・大学の3年以内の既卒者を、ハローワークを通じて採用することで
1人当たり3ヶ月の試用期間で月額10万円、3ヶ月終了後に正規に雇い入れると50万円が支給されます。
《助成金獲得までの手順》
助成金の申請から獲得までの流れは以下の通りです。
(1) 助成金に該当しているかどうかの確認
助成金をもらうためには会社がどの助成金に該当しているかどうか確認します。
(2) 申請書類の作成と行政機関への提出
助成金の申請に必要な書類の作成して所定の行政関係窓口に申請をします。
(3) 助成金の審査
申請書類と添付書類を提出すると今度はその申請書類に間違いがないかどうか
添付書類に漏れがないかどうか行政機関で審査に入ります。
申請書類に間違いがあると訂正があったり添付書類に漏れがあると提出するように言われます。
また提出した書類だけでは分からない場合には追加の添付資料を要求される場合もあります。
(4) 申請書類にもれが無ければ審査通過
申請書類に間違いがなく添付書類にも漏れがなく何も問題がない場合には助成金をもらうことができます。
そのときに支給決定通知書というのが会社宛に送られてきます。
逆に審査が通らなかったら不支給決定通知書が会社宛に送られます。
(5) 支給決定通知が届き、助成金の振込
支給決定通知書が届いた後から1週間から2週間以内に指定した口座に助成金が振り込まれます。
なお助成金が振り込まれていても不正受給したと判明した場合には助成金の返還をするのはもちろん
悪質ならば逮捕されるということもあるので注意してください。
■助成金獲得までのフロー
今まで助成金を活用したことが無く、今初めて助成金とはどういうものか理解できた経営者様は、
これから積極的に助成金を活用してください。
上手に活用すれば劇的に会社環境、会社経営が変わります。
助成金によっては難易度が変わってきます。
「調べたけれど分らない」という方は助成金獲得のプロにお願いするのも一つの方法です。
再度言いますが、助成金は返済不要です。